本来の相続対策
- 遺産分割を円滑に進める秘訣は、相続人をどれだけ満足させられるかにかかっています。
- 遺言は、特定遺贈方式で作成し、遺留分にも配慮した内容にすれば、安全で確実な公正 証書遺言となります。
- 家庭裁判所に遺産分割の審判を申し立てると、調停費用や多くの時間がかかります。
また、裁判ともなれば、多額の弁護士費用も必要ですし、たとえ結論が出たとしても、その後の相続人間の人間関係に大きなヒビが入ります。円満な関係を維持するためにも、早期の相続対策と遺言書の作成が必要です。 - 農地については、農業後継人の生活等を視野に入れ、農地を分割するか否かは慎重に判断することが重要です。
- 農地に限らず土地については、その名義を確認して、万一、名義変更が行われていない場合は、真性な所有者に名義変更をしておくことが必要です。
① 相続のトラブルを未然に防ぐ遺産分割の考え方
・相続税が課税されるされないにかかわらず、相続人間で財産をどう分けるかは大きな問題です。
・遺産分割をスムースに行うためには、遺言書の作成をお勧めします。ただし、遺言書は、民法に定められた方式で書かないと無効になってしまいます。また、遺言書は、遺留分に配慮して作成しないと、思わぬ争いを生じることがあるので注意が必要です。
② 上手な遺言書作成の秘訣
・遺言書には、自己の財産を正確に把握した上で、誰に何を与えるかを具体的に書いておきます。その場合、次の事項に特に注意しましょう。
■財産の種類とその特質、相続人に対する公平性、財産増加への寄与の有無や生前贈与による特別受贈益の有無を確認しておく。
■納税資金対策を相続人ごとに検討しておく。
■相続税の軽減の特例の適用の可否等を事前に検討しておく。
■相続後の土地活用方法も検討しておく。
■法定相続人以外に遺贈したい場合には、その内容を明確に書いておく。
check point
⇒ 遺言は、あとで撤回することができます。
⇒ 遺言が2通以上ある場合は、後日付のものが有効になります。
③ 遺留分を侵害しない
・兄弟姉妹以外の相続人(配偶者、子、直系尊属)には、民法で、相続人として相続できる最低限度の財産が保証されています。これを「遺留分」といいますが、これを侵害すると「遺留分減殺請求」を受けることがあります。
・相続が「争族」になる原因の多くは、この遺留分の侵害にある、といわれています。そのためには、遺留分に配慮した遺言書を作成し、相続人間の紛争の芽を摘み取っておくことが賢明な事前の対策といえます。
・この遺留分の減殺請求ができる人と遺留分の範囲は、以下の通りです。
遺 留 分 権 利 者 | 遺 留 分 |
① 直系尊属(父母や祖父母)のみが相続人である場合 | 相続財産×1/3 |
② そ の 他 の 場 合 | 相続財産×1/2 |
check point
⇒ 兄弟姉妹には遺留分はありません。
⇒ 遺留分は放棄できますが、相続前に放棄する場合は家庭裁判所の許可が必要です。